第 4 回 ルーティング(1)

本日の内容


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4-1. ホップバイホップルーティング

IP パケットは発信元と受信先のアドレスは持ってますが、経路の情報は持っ ていません。 従って、経路上の各ルータはパケットの中継経路を決定しなければなりません。 この各中継点で経路を決定するルーティング方式をホップバイホップルー ティングと言います。 これに対して送信元が経路を決定するルーティング方式をソースルーティ ングと言います。 IP パケットのルーティングには通常ホップバイホップルーティングが用いら れます。

ホップバイホップルーティングではルーティングテーブルを参照して転送先を 決めます。 ルーティングテーブルはネットワークアドレス、サブネットマスク、転送先ア ドレス、使用インターフェイスなどが書かれています。 以下は Windows XP のルーティングテーブルの例です。

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Interface List
0x1 ........................... MS TCP Loopback interface
0x2 ...00 0e 9b 00 1f 5a ...... LAN-Express AS IEEE 802.11a/g miniPCI Adapter - パケット スケジューラ ミニポート
0x3 ...08 00 46 cc 23 c8 ...... Intel(R) PRO/100 VE Network Connection - パケット スケジューラ ミニポート
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Active Routes:
Network Destination        Netmask          Gateway       Interface  Metric
          0.0.0.0          0.0.0.0      192.168.1.1     192.168.1.5	  30
        127.0.0.0        255.0.0.0        127.0.0.1       127.0.0.1	  1
      192.168.1.0    255.255.255.0      192.168.1.5     192.168.1.5	  30
      192.168.1.5  255.255.255.255        127.0.0.1       127.0.0.1	  30
    192.168.1.255  255.255.255.255      192.168.1.5     192.168.1.5	  30
        224.0.0.0        240.0.0.0      192.168.1.5     192.168.1.5	  30
  255.255.255.255  255.255.255.255      192.168.1.5     192.168.1.5	  1
  255.255.255.255  255.255.255.255      192.168.1.5               3	  1
Default Gateway:       192.168.1.1
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Persistent Routes:
  None

Route Table

さて、このルーティングテーブルを作成するにはどうすれば良いでしょうか?

4-2. ネットワークインターフェイスの設定

通常、ネットワークインターフェイスを設定すると、その情報は自動的にルー ティングテーブルに記憶されます。 従って、同一ネットワーク上の通信に関しては自動的にルーティングテーブル が設定されます。

現在のパソコンネットワークでは DHCP サーバというサーバが動いていて、パ ソコンを接続すると IP アドレスやルーティング情報などが送られてきて自動 的にネットワークの設定が終了する仕組みになっています。 つまり、 DHCP クライアントの設定がされているパソコンはネットワークにつ なぐだけで、ネットワークの設定が終了するようになっています。

一方、手動でネットワークを設定するには 次のようにやります。

Windows XP の場合

  1. マイネットワークのプロパティを開きます。
  2. ローカルエリア接続などインターネットを使用するネットワークのインタ フェイスのプロパティを開きます。
  3. インターネットプロトコル(TCP/IP)のプロパティを開きます。
  4. 次の IP アドレスを使うをチェックします。
  5. IP アドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNS サーバー のアドレスなどを設定します。

UNIX 系の場合

  1. ifconfig インターフェイス名 IPアドレス netmask サブネットマスク broadcast ブロードキャストアドレス で設定する。

このようにすると、ルーティングテーブルには次の内容の行が追加されます。

ネットワークアドレス
IP アドレスとサブネットマスクの AND をとったもの
Netmask
サブネットマスクそのまま
Gateway
UNIX 系は 0.0.0.0。Windows では IP アドレス
Interface
指定したインターフェイスまたは IP アドレス

4-3. スタティックルーティングとダイナミックルーティング

スタティックルーティングとはネットワークの状況の変化を考慮せずにルーティ ングテーブルを決定するものです。 例えばルータやコンピュータが起動した時に設定を行うのはスタティックルー ティングです。 経路が一つしかない場合などはスタティックで十分です。 また、単純なルーティングプロトコルでは計算できないような経路はスタティッ クで設定します。 例えば、二点間に二本経路があり、ネットワークを分割して負荷を分散したい とか、セキュリティの問題などで、特定の回線を使用したくないなど、接続情 報以外の理由で経路を決定したい時などです。

スタティックルートを設定するには route コマンドを使用します。 UNIX 系では route add -net ネットワークアドレス netmask サブネットマスク gw ゲートウェイアドレス とします。 Windows でもオプションの書き方が若干違いますが、同様の書式 で設定します。 ネットワークアドレスすべてを表すにはネットワークアドレス 0.0.0.0 サブ ネットマスク 0.0.0.0 を指定します。 UNIX 系では default というキーワー ドを使える場合があります。

一方、接続情報などに応じて経路を決定することをダイナミックルーティ ングと言います。 ダイナミックルーティングは通常全てのルータが同じアルゴリズムで計算しま すので、一箇所が故障しても全体のシステムの構成に大きな変更が発生しませ ん。そのため、耐故障性に優れています。

先週 IP アドレスの説明でサブネットの説明をしました。 組織内はサブネットの管理をしなければなりません。 一方、組織外はクラスに基づいた大規模なルーティングテーブルを管理しなけ ればなりません。 そこで、組織内用ルーティングプロトコル(IGP INTERIOR GATEWAY PROTOCOLS) と組織外用ルーティングプロトコル(EGP EXTERIOR GATEWAY PROTOCOLS)は 別々に開発されています。 本講義では必要とされるネットワーク技術者の人数 の差から、主に IGP に関して取り上げることにします。

代表的な IGP には RIP と OSPF があります。また、EGP には BGP が使われ ています。 RIP は距離ベクトル型、 OSPF はリンク状態型と呼ばれ、それぞれ異なる方式 でルーティングテーブルを決定しています。


坂本直志 <sakamoto@c.dendai.ac.jp>
東京電機大学工学部情報通信工学科