第 12 回 センサー

本日の内容


このドキュメントは http://edu.net.c.dendai.ac.jp/ 上で公開されています。

ここで、外部入力として、アナログ入力を受け付けることを考えます。

授業で、 1MΩ の抵抗とフォトトランジスタ L-51ROPT1D1を配ります。

12-1. Arduinoのアナログ入力

C言語版

Arduino では、初期設定で、アナログポート A0 から A5 までが設定されて いるため、 analogRead(ポート番号)で、アナログ入力値を読み 込むことが出来ます。 これは、0から1023までの値で、 int 型の変数で受けます。

なお、作成したトレーニングキットでは、 A0 から A3 まではディジタル出 力ポートとして使う前提で設計してあるので、 本講義ではA4とA5をアナログ入力ポートとして使うこととします。

アナログ入力ポートとはA/Dコンバータが内蔵されていて、電圧値を読み込 みます。 A/Dコンバータは電圧値を瞬時に数値化できるのではなく、 電圧値が得られる時間は分解能に応じて長くなります。

例12-1


  int val;
  val=analogRead(A4);

例12-2

A4のアナログ値10bitの上位4bitを7SEGに表示するプログラム


const byte out7seg[]={6,7,8,9,10,12,13,0xff};
const byte pattern[]={
      0b1111110, //0
      0b1010000, //1
      0b1101101, //2
      0b1111001, //3
      0b1010011, //4
      0b0111011, //5
      0b0111111, //6
      0b1110000, //7
      0b1111111, //8
      0b1111011, //9
      0b1110111, //A
      0b0011111, //b
      0b0101110, //C
      0b1011101, //d
      0b0101111, //E
      0b0100111  //F
};
void write7seg(byte x){
  for(byte i=0; out7seg[i]!=0xff; i++){
    digitalWrite(out7seg[i],pattern[x]&1<<i);
  }
}
void setup() {
  for(byte i=0;out7seg[i]!=0xff;i++){
    pinMode(out7seg[i], OUTPUT);
  }
  pinMode(A4,INPUT);
  analogReference(DEFAULT);
}

void loop() {
  byte in = analogRead(A4) >> (10-4);
  write7seg(in);
  delay(1);
}    

例12-3

例12-2に加え、 ボタン1を押すと、そのときのセンサー値を記憶します。 センサー値が記憶値以上になったら、小数点を点け、下回ったら消灯します。 ボタン2を押すと、小数点を点ける、点けないのロジックを反転させます。


const byte out7seg[]={6,7,8,9,10,12,13,0xff};
const byte pattern[]={
      0b1111110, //0
      0b1010000, //1
      0b1101101, //2
      0b1111001, //3
      0b1010011, //4
      0b0111011, //5
      0b0111111, //6
      0b1110000, //7
      0b1111111, //8
      0b1111011, //9
      0b1110111, //A
      0b0011111, //b
      0b0101110, //C
      0b1011101, //d
      0b0101111, //E
      0b0100111 //F
};
const byte button1=4;
const byte button2=5;
const byte dot = 11;
void write7seg(byte x){
  for(byte i=0; out7seg[i]!=0xff; i++){
    digitalWrite(out7seg[i],pattern[x]&1<<i);
  }
}
void setup() {
  for(byte i=0;out7seg[i]!=0xff;i++){
    pinMode(out7seg[i], OUTPUT);
  }
  pinMode(dot, OUTPUT);
  pinMode(button1,INPUT_PULLUP);
  pinMode(button2,INPUT_PULLUP);
  pinMode(A4,INPUT);
  analogReference(DEFAULT);
}

void loop() {
  static bool prev1=HIGH;
  static bool prev2=HIGH;
  static bool now1=HIGH;
  static bool now2=HIGH;
  static int memory = 0;
  static bool higher = true;
  int in = analogRead(A4); 
  write7seg(in >>(10-4));
  now1=digitalRead(button1);
  if(now1==HIGH && prev1==LOW){
    memory = in;
  }
  prev1=now1;
  now2=digitalRead(button2);
  if(now2==HIGH && prev2==LOW){
    higher ^= true;
  }
  prev2=now2;
  digitalWrite(dot, (in >= memory) ^ higher);
  delay(1);
}

光センサー

光センターは光を受けて電気的な性質を変える物質を使用して、光の量など を計測するために使用されます。 電気的性質も様々あり、下記のものがあります。

  1. 抵抗値が変化するCdS
  2. かけた電圧に対して、流れる電流が変化する、光ダイオード、光トラン ジスタ
  3. 光を受けると起電力が生じる太陽電池

CdS

CdSは硫化カドミウムで、光を受けて抵抗値を変える性質を持っています。 抵抗値の変化、電気的な使いやすさなど、最も利用しやすいセンサーのため、 未だに多くの電子工作の教科書でも取り上げられているセンサーです。

但し、非常に有毒なため、特に、破損した場合などの取扱に注意が必要です。 また、廃棄は産業廃棄物として処理する必要があります。 ヨーロッパには2008年以降輸出ができなくなっています。

使用方法としては、10kΩ程度の抵抗と直列に繋いで、電圧をかけると、 繋いだ部分の電圧が変化するので、それをマイコンのアナログ入力に入れる ことで、光の強さを電圧として読み取ることが出来ます。

フォトダイオード

ダイオードのPN接合面に光を当てると起電力が生じ、電圧をかけると電流が 流れるという素子です。 両対数グラフにおいて、照度と流れる電流が直線的に変化します。

I = L α

使用する際は、抵抗とフォトダイオードを直列に繋いで電圧を印加します。 フォトダイオードに流れる電流に応じて、抵抗に電圧降下が生じます。 なお、流れる電流がマイクロアンペアのオーダなので、例えば10[μA] 流れる時に 1[V]の電圧降下を生じさせるには、100[kΩ] の抵抗をつ なぐ必要があります。

光の強さに対して電流が流れるため、精密な測定ができる一方で、光の強さ が指数関数的に増加する時に、流れる電流も指数関数的に増えるので、抵 抗に直列つなぎで計測する場合、計測範囲に注意してください。

フォトトランジスタ

フォトダイオードをバイポーラトランジスタのコレクタとベースに繋いだIC がフォトトランジスタになります。 一定の光を受けるとミリアンペアオーダのコレクタ電流が流れますので、光 の強さの測定というよりは、光によりON, OFF を行うようなものを作るのに 向いています。

但し、コレクタに流せる電流はそれほど大きくないので、電源から抵抗を介 して、コレクタにつなぎ、エミッタを接地します。 そして、コレクタ電圧をマイコンで測定するようにします。 CdSほど自由度はありませんが、安価で、特定の光量でON/OFFするような回 路を作るのに適しています。

太陽電池

太陽電池は光量に応じて起電力を生じる素子です。 一つの素子の起電力は小さいため、多くの素子を直列つなぎとした、面積の 大きな素子として使うのが普通です。 また、普通は、センサーというよりは電池として使用するため、十分な電圧、 電流が得られるような集積度になっています。 大規模な集積度なので、素子としても高価です。

12-2. 実験

実験

半固定抵抗により、可変電圧源を作り、 それを A4 ポートで検出し、得られた10bit の値を0からFまでの値に変換 して LED で表示しなさい。

実験

フォトトランジスタを使用して、明るさを測ります。 フォトトランジスタは、コレクタ、エミッタ間に電圧をかけた状態で光を当て ると、光に応じて電流がコレクタからエミッタに流れます。 そのため、エミッタに抵抗を直列につないでおくと、光が無いときはエミッ タの電圧はほとんど0になり、光が当たった時は抵抗を流れる電流に比例す る電圧になります。

L-51ROPT1D1というフォトトランジスタはon状態で 2mA 流れますので、電圧と して5Vかけたとき、抵抗として、2.5[kΩ]以上を直列につなぐと、飽和 することになります。

  1. フォトトランジスタと1[MΩ] を直列につなぎ、Arduino から5Vを 供給し、抵抗の両端の電圧が光によりどのように変化するかを調べなさい。
  2. フォトトランジスタと抵抗を接続した回路の電圧を Arduino で読み、 7SEG に上位4bitの値を表示するようにしなさい。

発展課題

半固定抵抗の角度でモータの回転をコントロールするようにしなさい。


坂本直志 <[email protected]>
東京電機大学工学部情報通信工学科